Research Press Release
膜融合には棘(STING)がある
Nature Immunology
2012年6月18日
ウイルスが細胞に感染したときに最初に起こるのが膜融合だが、免疫系はどのようにしてこれを感知するのか、そのしくみの手がかりがマウスの研究で明らかになった。
Soren Paludanたちは、ウイルス様粒子(VLP)や、遺伝物質や既知の刺激分子をまったく含まない人為的に作成したリポソームに曝されたマウスの細胞でも、健全な免疫応答が誘発されることを、試験管内、生体内両方で明らかにした。これらのVLPやリポソームは、従来型の病原体認識経路の引き金にはならないが、細胞膜には融合できる。膜融合を認識するためには、STING(普通は、病原体由来のDNAに対する応答にかかわることが多いとされる)という細胞内分子だけが必要らしい。膜融合は単独でも免疫応答を誘発するが、他の免疫刺激シグナルと相乗的にも働くので、病原体認識の一般的で重要な第一段階なのかもしれない。
doi:10.1038/ni.2350
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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