【材料科学】スプレー塗装の要領で電池を作る
Scientific Reports
2012年6月29日
リチウムイオン充電池の成分を塗料の成分に作り変え、それをさまざまな材質の表面上に直接スプレー塗装する方法で、リチウムイオン充電池が作製された。また、この成果をもとにして、太陽電池のようなエネルギー収集デバイスをこうした充電池と集積して、自立型エネルギー捕捉・貯蔵能力を有する物質表面を作製する可能性も示された。研究の詳細を報告する論文は、今週、Scientific Reportsに掲載される。
リチウムイオン電池は、エネルギー密度と出力密度が高いため、私たちが利用する大部分の携帯用電子機器の電源になっている。ただし、リチウムイオン電池パックはコンパクトだが、ロールケーキ型に設計されているために、その形状は、長方形か円筒形に限定されている。今回、P Ajayanたちは、スプレー塗装法を用いて、ガラス、ステンレス鋼、セラミックタイルなど、さまざまな材質の様々な形状の表面(例えば、セラミックマグカップの曲面)上に電池を作製した。作製された電池の性能は、その下地の種類のちがいに影響されておらず、この技術をさまざまな標準的な建材や家庭用品に集積しうることが示唆された。
リチウムイオン電池には、取扱いがそれほど簡単でない液体電解質の使用と無酸素、乾燥環境での作製という制約条件がある。今回発表された方法をそのまま適用すれば、こうした環境が障害になると考えられる。今後、湿度と酸素に対する感受性の低い電池部品を用いた研究が進めば、この新しい方法の効率と商業的実現可能性が高まる可能性がある。
doi:10.1038/srep00485
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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