Research Press Release
ヒトの皮膚細胞から神経への転換を高効率で行う
Nature Methods
2012年4月9日
新生児の線維芽細胞を神経に直接転換するときの効率を大幅に改善する方法が、今週の『Nature Methods』の研究で発表される。
ヒトの成熟皮膚細胞 - 線維芽細胞 - は、一群の転写因子を発現するように遺伝子操作を行うことにより、神経に直接転換させることができる。この方法は、神経疾患のモデル作製および再生医療の手段として、神経発生の研究にきわめて有用なものと期待されている。しかし、その工程は効率が低いことが知られており、転換されるのは一部の細胞にとどまる。Oliver BrustleとPhilipp Kochは、新生児および幼児から線維芽細胞を採取し、in vivoの神経形成で役割を果たすことが知られている低分子を加えて培養した。このとき2つの転写因子を併用すると、その後の神経への転換の効率が15倍以上に向上した。
得られた神経は、神経の正常な機能特性を示し、神経の細胞に関連する遺伝子を発現した。さらに、この研究で明らかにされた予備的な知見からは、この方法が成人の線維芽細胞から神経への直接転換の効率も向上させることが示唆されている。このことは、加齢関連疾患の細胞モデルの作製をも可能にすると考えられる。
doi:10.1038/nmeth.1972
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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