【動物行動】ゴキブリが歩き回るバーチャルな森
Scientific Reports
2012年3月23日
実験動物が探索行動をとれるような仮想の森を作り出すバーチャルリアリティーシステム(VRシステム)が開発された。これによって、動物の行動学研究と神経生理学研究に新たな可能性がもたらされるかもしれない。この研究成果を報告する論文が、Scientific Reportsに掲載される。
これまでVRシステムは、例えば齧歯類について、動物の自然環境を実験室内で模倣し、それによって動物の神経機構の研究を改善するために用いられてきた。しかし、昼行性の昆虫のように動体視力の優れた動物を使った実験に使用できるVRシステムの作製は難しかった。
今回、M Vahasoyrinkiたちは、魚眼レンズ付きのデータプロジェクターを用いて、コンピュータ生成画像を球面投影するVRシステムを作製した。このシステムにより、高品質画像で360Hzのフレームレートのパノラマ視覚刺激を作り出せるので、従来の鏡を用いた設計よりも動体視力の優れた動物に適している。このシステムには、ゴキブリなどの歩行動物の行動実験のためのトラックボールシステムが含まれている。今回の研究では、ゴキブリが動物モデルとして用いられた。このVRシステムに置かれたゴキブリは、長期間にわたって活動を続け、歩行活動の活発な時期と不活発な時期を交互に繰り返した。ただし、現在のシステムでは、フルカラーのバーチャル・リアリティー環境を作り出せない。この点は、フレームレートを増やすために妥協せざるを得なかった。
今後の研究は、バーチャル・リアリティーにおいて複数の感覚を刺激すること、例えば、現在開発中の嗅覚測定器を使って嗅覚経路と機械感覚経路を刺激する研究に焦点が置かれるようになるだろう。
doi:10.1038/srep00324
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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