Research Press Release
β‐カテニンの狙い撃ちによる新たな抗がん剤開発
Nature Communications
2012年2月22日
β‐カテニンタンパク質の特定の部分を直接標的とすれば、β‐カテニンの変異が観察されるがんの治療薬開発にとっての新たな手がかりが得られる可能性が浮上した。β‐カテニンの変異は、大腸がんなど、さまざまな種類のがんにとって重要な意味をもっている。この研究成果を報告する論文が、今週、Nature Communicationsに掲載される。 今回、M Bienzたちは、β‐カテニンとその補因子であるBCL9との相互作用を阻害する化合物を同定した。この化合物は、β‐カテニンの特定の部分に依存していることが判明し、この部分を特異的に標的とすることが、発がん性β‐カテニンの直接的な阻害剤を開発するための新たな戦略となる可能性が示唆されている。この暫定的な研究結果は、新たな抗がん剤の開発に役立つ可能性がある。
doi:10.1038/ncomms1680
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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