Research Press Release
隕石中の炭酸塩の年代測定精度を高める
Nature Communications
2012年1月18日
隕石に含まれる炭酸塩粒子の年代測定法が改良され、従来の方法での測定結果より若い年代が得られた。始源的隕石中の炭酸塩は、小惑星で形成したものであり、この炭酸塩の年代が決まると含水小惑星の形成時期がわかる。炭酸塩の年代が若くなったことで、炭酸塩が生じた小惑星の形成年代が、太陽系の誕生の約350万年後であったことを示唆されている。この研究成果を報告する論文は、今週、Nature Communicationsに掲載される。 今回、東京大学の藤谷渉(ふじや・わたる)たちは、4点の隕石に含まれるいくつかの炭酸塩粒子を分析した。その結果、これらの炭酸塩の年代が約45億6340万年前に収束した。これは、従来の測定で得られた年代よりも若い。藤谷たちは、太陽系における水成活動の始期がこれまで考えられていたよりも遅いという解釈を示している。
doi:10.1038/ncomms1635
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
注目のハイライト
-
環境科学:火山活動が中世ヨーロッパにペストをもたらしたかもしれないCommunications Earth & Environment
-
人工知能:チャットボットは投票意向に影響を与えるかもしれないNature
-
社会科学:不安定なビデオ通話は、会話だけでなくそれ以上のものを損なうNature
-
天文学:衛星による光害が宇宙天文学研究を脅かしているNature
-
素粒子物理学:風変わりなクォーク四重項の定量化Nature
-
動物の行動:病気のアリはコロニーを守るため自ら犠牲となるよう合図するNature Communications
