Research Press Release

動物学:インコは人間のように仲間から新しい芸を覚えることができる

Scientific Reports

2025年9月5日

アオキコンゴウインコ(Blue-throated macaws、学名:Ara glaucogularis)は他のコンゴウインコの相互作用を観察することで新たな行動を学習できることを示唆する論文が、オープンアクセスジャーナルScientific Reports に掲載される。この研究は、第三者による模倣として知られるこの学習手法が人間に特有のものではなく、高度に社会的な動物であるコンゴウインコの複雑な群行動を説明する一助となるかもしれない。

第三者による模倣とは、直接的な指示ではなく、二者間の相互作用を受動的に観察することで学習する能力である。人間ではこの技能は文化的慣習や社会的規範の伝達に関連している。一方、直接的な実演から学ぶ第二者による模倣は、ウズラなどの一部の動物で観察されているが、これまで人間以外での第三者による模倣の証拠は確認されていなかった。

Esha Haldar、Auguste von Bayernら(マックス・プランク生物知能研究所〔ドイツ〕)は、テネリフェ島(Tenerife)のロロ・パルケ財団(Loro Parque Fundación)で飼育下の14羽のアオキコンゴウインコを観察した。実験対象12羽と、訓練を受けた8歳のオスペア2羽(デモンストレーター役)を用いた。研究者らは、訓練されたコンゴウインコが研究者のジェスチャーに応答する様子を観察した後、実験群のコンゴウインコが5つの動作(片足を上げる、回転する、および指示に従って羽ばたくなど)を模倣できるかを検証した。6羽のコンゴウインコのテスト群は、これらの相互作用を観察した後で同じ指示を受け、5羽の対照群は事前観察なしに指示を与えられた。テスト群は対照群より多くの動作を、より速く習得し、「片足を上げる」といった指示への反応精度は対照群の2倍であった。テスト群の一部の鳥は、指示や報酬を受ける前から自発的に動作を模倣する行動も見せた。

著者らは、調査対象のコンゴウインコの個体数とテストした動作数がともに少ないため、より広範な応用にはさらなる大規模研究が必要であると指摘している。

Haldar, E., Sánchez, A.H., Tennie, C. et al. Third-party imitation is not restricted to humans. Sci Rep 15, 30580 (2025). https://doi.org/10.1038/s41598-025-11665-9
 

doi:10.1038/s41598-025-11665-9

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