医学:非接触型無線モニタリングによる心臓不整脈の検出
Nature Communications
2025年5月21日
無線技術と人工知能を利用した心房細動(atrial fibrillation)の非接触検出システムを報告する論文が、今週オープンアクセスジャーナルNature Communications に掲載される。このシステムは、従来の臨床診断の経路よりも早く、心房細動を発見できるかもしれない。
心房細動は、心臓の一般的なリズム異常であり、重篤な健康問題につながる可能性があり、死亡率の上昇に関連している。心房細動の診断には、心電図(ECG:electrocardiogram)が主に用いられる。しかし、心電図は主に症状が現れたときや、時々行われる検診のときにしか使用されないため、早期の細動エピソードをとらえることが難しく、タイムリーな介入の機会を逃している。
Yan Chenら(中国科学技術大学〔中国〕)は、レーダーセンシングによって非接触で心臓の動きを記録するシステムを開発した。得られたデータは、ニューラルネットワークモデルによって解析され、心電図診断の知識伝達を活用することで、心房細動パターンを正確に識別できるようになっている。このシステムは、心房細動を有する229人を含む6,258人の外来患者の30秒間の心電図スクリーニングのデータを用いて評価された。このシステムは、心電図検査に匹敵する感度と特異度で心房細動を検出することができた。この技術はさらに、27人の患者の毎日の睡眠中にテストされ、心房細動の存在と発症の検出に有望であることが示された。
このシステムは、比較的静止した状態の被験者でのみテストされたが、この結果は、心房細動の早期発見と予防的管理に役立ち、実用的な日常生活への配備の可能性を示唆している。
- Article
- Open access
- Published: 20 May 2025
Yuan, Y., Chen, J., Zhang, D. et al. Atrial fibrillation detection via contactless radio monitoring and knowledge transfer. Nat Commun 16, 4317 (2025). https://doi.org/10.1038/s41467-025-59482-y
doi:10.1038/s41467-025-59482-y
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
注目のハイライト
-
動物の行動:犬はおもちゃにすっかり夢中Scientific Reports
-
社会科学:オンライン上で歪められた年齢とジェンダーの表象Nature
-
材料科学:通常のプラスチックと同等の強度を持つ生分解性の竹プラスチックNature Communications
-
材料:海洋から回収した炭素を生分解性プラスチックに変換Nature Catalysis
-
動物の行動:ネグレクトされた子犬は成犬になるとより攻撃的で恐怖心が強くなるScientific Reports
-
遺伝学:自閉スペクトラム症の遺伝的に異なる形態Nature