人類学:カルタゴとフェニキアの間に家族的なつながりはほとんどない
Nature
2025年4月24日
カルタゴ(Carthage)の人々は、フェニキア(Phoenician)文化の創始者らとは密接な関係になかったことを報告する論文が、Nature に掲載される。この発見は、カルタゴ人の起源とその文化の獲得を形作った力に光を当てるものである。
フェニキア人は、レバント(Levant)地方の古代海洋文明である。紀元前1千年紀、フェニキア人は現在のチュニジアにカルタゴを含む多くの植民地を築いた。カルタゴ人(ポエニ人〔Punic〕としても知られる)は、フェニキア文化を言語と宗教の形で取り入れた。しかし、フェニキア人の遺伝的遺産については、レバント・フェニキア人(Levantine Phoenician)の故郷と他の居住地との間の移動の程度を含めて、ほとんど知られていない。
この疑問を解決するために、Devid Reich、Harald Ringbauer、Ilan Gronauらは、レバント、北アフリカ、イベリア(Iberia)、シチリア(Sicily)、サルデーニャ(Sardinia)、およびイビサ(Ibiza)にある14の主要なポエニ遺跡から発掘された210人の古代のゲノムを研究した。ポエニ人は、レバント文化の祖先からの遺伝的祖先はほとんど持っていなかった。著者らは、フェニキア人が全く異なる祖先を持つ人々に自分たちの文化を伝え、遺伝的な寄与はほとんどなかったことを示唆している。加えて、ポエニ人の遺伝的多様性は高く、ポエニ人が遠く離れた場所、主にシチリアやギリシャから来た人々と混血していたことを示唆している。
- Article
- Published: 23 April 2025
Ringbauer, H., Salman-Minkov, A., Regev, D. et al. Punic people were genetically diverse with almost no Levantine ancestors. Nature (2025). https://doi.org/10.1038/s41586-025-08913-3
doi:10.1038/s41586-025-08913-3
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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