環境:世界のプラスチックのうち、再生材料から製造されたものは10%未満
Communications Earth & Environment
2025年4月11日
2022年に世界で生産されたプラスチック材料のうち、リサイクル材料(再生材料)から製造されたものはわずか9.5%であった。Communications Earth & Environment に掲載されるこの調査結果を報告する論文は、世界のプラスチック産業の包括的な分析の一部である。この分析では、焼却処分されるプラスチックの量の大幅な増加や、プラスチック消費における地域間の大きな差異も明らかにされている。
プラスチックの生産量は、1950年の年間200万トンから2022年には年間4億トンに増加し、2050年には年間8億トンに達すると予測されている。その結果、プラスチック汚染は、環境、経済、および公衆衛生に大きな課題をもたらす、差し迫った深刻な世界的な問題となっている。しかし、現代のグローバルなプラスチック産業に関する包括的な分析はほとんど行われていない。
Quanyin Tanらは、各国の統計、業界レポート、および国際データベースのデータを使用して、2022年の世界のプラスチック業界の分析を行い、プラスチックの生産、使用、および廃棄に関する詳細な世界および地域別の概要を作成した。分析データは、世界のプラスチックのサプライチェーンにおける主な傾向を明らかにしている。1年間に生産された4億トンのプラスチックのうち、リサイクルプラスチック(再生プラスチック)から生産されたのは3,800万トン弱(9.5%)であった。残りの3億6,200万トンのうち98%は、主に石炭や石油などの化石燃料から生産された。
1年間に廃棄されたプラスチックは、約2億6,800万トンで、分別やリサイクルの可能性があるものはわずか27.9%であった。また、36.2%は直接埋め立てられ、そして、22.2%は直接焼却された。さらに、分別されたプラスチックの半分しか実際にリサイクルされず、41%は焼却され、8.4%は埋め立てられた。しかし、2022年に埋め立てられたプラスチック廃棄物の割合(40%)は、1950年から2015年の間に埋め立てられたプラスチック廃棄物の予測された割合(79%)と比較すると、依然として大幅に減少している。米国は一人当たりのプラスチック消費量が最も多く、年間一人当たり平均216キログラムのプラスチックを消費している。一方、全体として最も多くのプラスチックを消費しているのは中国で、年間8,000万トンである。
著者らは、この研究は今後の政策や規制を考案する上で重要なデータを提供していると述べている。
- Article
- Open access
- Published: 10 April 2025
Houssini, K., Li, J. & Tan, Q. Complexities of the global plastics supply chain revealed in a trade-linked material flow analysis. Commun Earth Environ 6, 257 (2025). https://doi.org/10.1038/s43247-025-02169-5
doi:10.1038/s43247-025-02169-5
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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