進化:ワニはどのようにして皮膚を得たのか
Nature
2024年12月12日
ワニの顔や顎にある鱗の独特なパターンは、皮膚を折りたたむ正確な機械的プロセスによって形成されることを報告する論文が、Nature に掲載される。この発見は、鱗が遺伝的メカニズムではなく機械的プロセスから生じるというこれまでの推測を裏付けるものであり、そのプロセスに関する新たな洞察をもたらすものである。
羽毛、毛髪、および鱗などの動物の付属器官は、通常、胚発生中に遺伝的に制御された単位として発達する。この規則にはいくつかの例外があり、ワニの頭部の鱗は純粋に機械的なプロセスによって形成されることが分かっている。しかし、頭部の鱗のパターン形成を駆動する正確なメカニズムを特定することは困難であった。その理由の一つは、ワニの胚を使った実験の技術的な難しさである。
Michel Milinkovitchらは、ナイルワニの胚を用いた実験とコンピュータシミュレーションを組み合わせることで、ワニの頭部の鱗のパターンを再現する3次元の機械的成長モデルを作成した。著者らは、皮膚が骨よりも速く成長すること、およびこれらの異なる組織の対照的な硬さから生じる、圧縮しながら折りたたむなどの単純な機械的プロセスを通じて、鱗が自己組織化することを発見した。このプロセスにより、ワニが成長する過程で、遺伝的に制御された単位として体の鱗が成長するのとは明らかに異なる方法で、頭部の鱗に不規則な幾何学模様が生じる、と著者らは結論づけている。
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- Published: 11 December 2024
Santos-Durán, G.N., Cooper, R.L., Jahanbakhsh, E. et al. Self-organized patterning of crocodile head scales by compressive folding. Nature (2024). https://doi.org/10.1038/s41586-024-08268-1
doi:10.1038/s41586-024-08268-1
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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