進化:これまで知られている最古のオタマジャクシ
Nature
2024年10月31日
約1億6,100万年前の化石オタマジャクシが、現在までに報告されている中で最古のオタマジャクシである。カエルやヒキガエルの進化に新たな光を投げかけるこの発見は、今週のNatureに掲載される。
カエルやヒキガエルは、無尾類と呼ばれる尾のない両生類に属する。著者らは、水生のオタマジャクシ幼生が成体へと変態する特徴的な2段階のライフサイクルを持つ。成体のカエルは、後期三畳紀(約2億1,700万年–2億1,300万年前)まで遡る化石記録に残っているが、オタマジャクシは白亜紀(約1億4,500万年前)以前の記録は残っていない。
Mariana Chuliverらは、パタゴニアの中生代ジュラ紀(約1億6,800万–1億6,100万年前)の地層から、保存状態の良いオタマジャクシ(Notobatrachus degiustoi)の化石を発見した。頭部、大部分の胴体、および尾の一部が確認でき、目、神経、および前肢も見られることから、このオタマジャクシは変態の最終段階にあったことが示唆される。これらの特徴から、濾過摂食システムなど、現在のオタマジャクシの主な特徴は、1億6,100万年前の初期のカエル類においてすでに進化していたことがわかる。体長は16センチ近くあり、このオタマジャクシも巨大であった。同じ場所では、これまでも多くの巨大なN. degiustoiカエルの成体が記録されている。巨大化はカエルの歴史の中で何度も進化してきたが、この研究は、巨大なオタマジャクシと巨大なカエルを両方持つ数少ない種のひとつであることを示している。
この新しい標本の発見により、オタマジャクシの体の設計図の主要な特徴が、カエルの進化の初期段階ですでに存在していたことが明らかになった。著者らは、劇的な変態を伴う2段階のライフサイクルが、1億6,100万年前にはすでにカエル類に存在していたことを示していると結論づけている。
Chuliver, M., Agnolín, F.L., Scanferla, A. et al. The oldest tadpole reveals evolutionary stability of the anuran life cycle. Nature (2024). https://doi.org/10.1038/s41586-024-08055-y
doi:10.1038/s41586-024-08055-y
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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