Research Press Release
多発性硬化症にかかわる新たな標的
Nature Neuroscience
2011年12月5日
中枢神経系の免疫細胞に見つかったタンパク質受容体の活性化によって多発性硬化症のマウスモデルの臨床成績が改善することが、Nature Neuroscience(電子版)の論文で報告されている。 多発性硬化症は、神経線維を包む髄鞘という保護被膜を免疫系の細胞が誤って標的とし破壊するために発症する。Marco Prinzらは、免疫細胞の一種に見つかったRIG-I様ヘリカーゼ受容体を活性化すると、この疾患マウスの炎症やミエリンの破壊が抑えられ、結果として 麻痺も通常より限定的になることを見いだした。重要なことには、この治療法は簡単な静脈内注射でも効果があり、発症後でも有効と確認されている。 これらの結果は、脳や脊髄のミエリンの破壊にはたらく細胞内の現象に対する貴重な洞察を与えるものだ。論文では、この衰弱性疾患で生じる損傷を抑えうる新しい非侵襲性の方法も報告されている。
doi:10.1038/nn.2964
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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