Research Press Release
免疫細胞中で生き残る大腸菌K1株が引き起こす新生児髄膜炎
Nature Communications
2011年11月24日
新生児髄膜炎は、宿主(患者)の免疫細胞中での大腸菌K1株の生き残りに依存していることが明らかになった。この研究結果は、新生児髄膜炎の予防法を設計するうえで重要な意味をもつかもしれない。 新生児髄膜炎症例の大多数は、大腸菌K1株を原因とする。今回、N PrasadaraoとR Mittalは、この大腸菌K1株が、宿主の好中球の表面上に発現するgp96タンパク質と結合することを明らかにした。好中球は、免疫細胞の一種で、細菌の検出に重要な役割を果たす。この好中球に大腸菌K1株が結合すると、好中球は、活性酸素種を産生する能力が奪われ、大腸菌K1株は、好中球中で生き続ける。N PrasadaraoとR Mittalは、好中球を持たないマウスやgp96の発現量の低いマウスが、大腸菌K1株の感染に耐性を有することを見いだした。この発見は、大腸菌K1株と好中球の相互作用を阻害することが新生児髄膜炎症の予防法として有用である可能性を示唆している。
doi:10.1038/ncomms1554
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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