Research Press Release

進化学:地球の磁場が弱くなっていたために地球上の生物の多様化が進んだのもしれない

Communications Earth & Environment

2024年5月3日

5億9100万~5億6500万年前、地球の磁場の強さが異常に低下したのと同時に、大気と海洋の酸素濃度が大幅に上昇していたことを報告する論文が、Communications Earth & Environmentに掲載される。著者らは、地球の磁場が弱くなったために酸素濃度が上昇し、初期の複雑な生物の進化が下支えされたと考えられるという見解を示している。

6億~5億4000万年前の地球上の生命体は、エディアカラ動物群(最古の複雑な多細胞動物群)として知られる軟体生物で構成されていた。この化石記録は、こうした軟体生物の複雑度と種類が5億7500万~5億6500万年前に著しく多様化したことを示している。これまでの研究で、この多様化が、同時期に発生した大気と海洋の酸素濃度の大幅な上昇に関連していたことが示唆されている。しかし、こうした酸素濃度の上昇が起こった原因は、いまだに解明されていない。

今回、John Tardunoらは、地球の地殻に含まれるありふれた鉱物である斜長石の結晶21点をブラジルにある5億9100万年前の岩石層から採取して、磁気特性を解析した。斜長石の結晶には、地球が形成された当時の地球の磁場の強度が保存された微小な磁性鉱物が含まれている。これらの結晶の解析から、結晶が形成された時の地球の磁場は、これまでに記録された中で最も弱く、現在の磁場強度の約30分の1、約20億年前に形成された斜長石の結晶で測定された磁場強度の約30分の1であることが明らかになった。

Tardunoらは、今回の結果をこれまでの測定結果と合わせて、地球の磁場が、5億9100万~5億6500万年前の少なくとも2600万年間、この弱いレベルだったことを実証した。これは、5億7500万~5億6500万年前に起こった酸素濃度の上昇と時代的に重なっている。Tardunoらは、磁場が弱くなったことで、より多くの水素が宇宙に放出され、その結果として地球の大気や海洋に含まれる酸素の濃度が上昇した可能性があり、そのために生物の種類と複雑度の多様化が進んだ可能性があるという見解を示している。

doi:10.1038/s43247-024-01360-4

「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。

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