感染症:川崎病の病原因子は風に運ばれてくるのか
Scientific Reports
2011年11月11日
中央アジアで発生して東方に移動し、北太平洋を横断する気流が、川崎病の発症率に関連しているとする考え方が明らかになった。川崎病の病原因子はいまだに解明されていないが、今回の研究結果は、病気の引き金となる環境因子が風で運ばれている可能性があるとする仮説を検証する基盤になると考えられる。詳細を報告する論文が、今週、Scientific Reportsに掲載される。
川崎病は、冠動脈を冒す急性の血管炎で、主に5歳未満の子どもが発病し、日本と米国では、小児後天性心疾患の最も一般的な原因になっている。今回、X Rodoたちは、日本における川崎病の3度の大規模流行を解析し、日本とサンディエゴ(米国)における非流行性川崎病の大規模な年々変動と日本、サンディエゴ、ハワイ(米国)における川崎病の季節変動を調べた。
その結果、Rodoたちは、川崎病の症例数の変動が、それと似た変動を示す風の循環に関連しているという考え方を報告している。つまり、中央アジアを起源とする気団を日本にもたらし、それと同時に北太平洋西部の気団をハワイとカリフォルニアにもたらす風に一貫して見られる季節的変化が、日本、サンディエゴ、ハワイにおける川崎病の症例数のピークに関連していることがわかったのだ。また、今回の年々変動解析は、この太平洋を横断する風の循環パターンが強いことが日本とサンディエゴでの川崎病の疾患活動性が異常に高いことに関連している可能性も示唆している。
doi:10.1038/srep00152
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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