Research Press Release
リチウム硫黄電池の長寿命化に役立つ正極の設計
Nature Communications
2011年5月25日
リチウム硫黄電池の普及につながることが期待される新たな正極の設計について報告する論文が、今週、Nature Communicationsに掲載される。 リチウム硫黄電池は、軽量で、エネルギー密度が高い。しかし、中間体のポリスルフィド化合物が電解質に溶解することによって正極が劣化するため、リチウム硫黄電池の開発には障害があった。今回、L Nazarらは、炭素/硫黄複合体に埋め込まれた多孔質シリカを用いて、正極を作製した。このシリカは、中間体のポリスルフィド化合物を内部的に貯蔵して、電解質に溶け込むことを防ぎ、正極の寿命を延ばす。 さらなる開発研究が必要となるが、この技術は、リチウム硫黄電池用正極に幅広く応用されて、リチウム硫黄電池の長寿命化をもたらす可能性を秘めている。
doi:10.1038/ncomms1293
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
注目のハイライト
-
環境科学:火山活動が中世ヨーロッパにペストをもたらしたかもしれないCommunications Earth & Environment
-
人工知能:チャットボットは投票意向に影響を与えるかもしれないNature
-
社会科学:不安定なビデオ通話は、会話だけでなくそれ以上のものを損なうNature
-
天文学:衛星による光害が宇宙天文学研究を脅かしているNature
-
素粒子物理学:風変わりなクォーク四重項の定量化Nature
-
動物の行動:病気のアリはコロニーを守るため自ら犠牲となるよう合図するNature Communications
