コンピューティング:データをリバースエンジニアリングしてアルゴリズムを生成できるニューラルネットワーク
Nature Computational Science
2024年2月20日
観察したデータを抽出し、シンプルで人間が理解できるアルゴリズムを生成する、ニューラルネットワークを用いた手法について報告する論文が、Nature Computational Scienceに掲載される。
データ駆動型のアルゴリズム発見は、実験データセットの背後にある基本的な論理や規則を発見できる手法である。研究者はこの手法を用いることで、高次元データに隠された新たな洞察を生成できる可能性がある。しかしながら、アルゴリズム発見のための典型的な手法は、人間には理解できなかったり、他のプログラマーが作成したコードの学習に依存していたり、可能な関数の探索空間の大きさゆえにスケーラブルでなかったりする。
今回、Milo Liらは、神経生物学にヒントを得た深層学習アルゴリズムを使用して、データから理解可能で実行可能なコンピューターコードを書く手法を提案している。このアルゴリズム設計では、勾配に基づく典型的な手法ではなくシンボリックな(つまり人間が読むことのできる)手法を訓練に用いるため、ニューラルネットワークは本質的に解釈可能で、データから論理規則を発見するのに使用することができる。そしてこれらの結果は、擬似コードや実行可能なプログラミング言語に翻訳することができる。
Liらは、自分たちが提案する手法が、人間が設計したアルゴリズムと非常によく似た動作をするアルゴリズムを発見したり、画像中の形の検出に用いるアルゴリズムなどについては、人間が設計した手法を凌ぐ性能のアルゴリズムを発見したりできることを示した。特に、Conwayのライフゲーム(初期入力に基づいて2次元格子上のパターンを進化させる有名なコード)の繰り返しの観察に基づいて、これをシミュレーションする実行可能コードを発見することができたことは、この手法に複雑な自己組織化パターンを理解できる潜在能力があることを示している。
この手法はアルゴリズム的な解を持つ問題に最も適しているが、Linらは、自分たちが提案する手法でさらに精査できる応用の可能性として、DNAの塩基配列とその構造や機能との関係の発見などを挙げている。
doi:10.1038/s43588-024-00593-9
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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