天文学:1日当たり太陽1個分の質量を増加させているブラックホールからエネルギーを供給されるクエーサー
Nature Astronomy
2024年2月20日
クエーサーJ0529-4351の解析から、このクエーサーは、これまでに発見された中で最も明るく、最も急速に成長しており、1日当たり太陽1個分の速度で成長している太陽質量の170億~190億倍のブラックホールからエネルギーを供給されていると考えられることが示された。このことを報告する論文が、Nature Astronomyに掲載される。
クエーサーは、かつては近傍の星と間違えられていたが、中心部に超大質量ブラックホールを持つ銀河であり、中心部では降着と呼ばれる過程を通じて盛んに物質が付加されている。クエーサーJ0529-4351(赤方偏移3.9に位置する)は、新しいクエーサー候補天体を特定する2022年6月の探査で確認されたが、その探査では誤って星と分類されていた。
今回、Christian Wolfらは、超大型望遠鏡(VLT)を用いてJ0529-4351を可視領域と近赤外領域でさらに観測し、ブラックホール円盤モデルを用いて、J0529-4351のブラックホールが1年当たり太陽質量の370倍、つまり毎日太陽1個分という速度で増大していることを明らかにした。また、さらに2つのモデルを用いて、ブラックホールの質量が太陽の170億~190億倍と推測されることを示した。
Wolfらは、J0529-4351の中心に位置するブラックホールがエディントン限界(星や降着円盤の質量に対して考えられる上限値)付近の降着を受けていると示唆しているが、その成長率を明らかにするためにはさらなる研究と観測が必要である。
doi:10.1038/s41550-024-02195-x
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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