Research Press Release
小胞体におけるTorsinA の新たな役割
Nature Communications
2011年7月13日
TorsinAは、早期発症捻転ジストニア患者において変異している酵素だが、これが、小胞体の一部分に含まれるタンパク質の分解を助けることがわかった。この研究成果は、早期発症捻転ジストニア患者のニューロンにおける小胞体ストレスの増加が、この疾患に寄与している可能性を示唆している。詳細を報告する論文は、今週、Nature Communicationsに掲載される。
X Breakefieldたちは、小胞体においてTorsinAが果たす役割を新たに明らかにし、嚢胞性繊維症膜貫通調節タンパク質の一種の変異体を有する線虫を用いた実験を行って、TorsinAが小胞体ストレスを防ぐことを実証した。また、早期発症捻転ジストニア患者から採取した繊維芽細胞は、小胞体ストレスを誘導する薬物に対する感受性が通常より高く、嚢胞性繊維症膜貫通調節タンパク質の変異体を分解する能力が通常より低いこともわかった。
今回の研究結果は、早期発症捻転ジストニア患者のニューロンの小胞体ストレスの研究を促進し、こうした患者における小胞体ストレスの予防につなげられるかもしれない。
doi:10.1038/ncomms1383
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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