Research Press Release
過誤腫に由来する繊維芽細胞から毛包と腫瘍を生成
Nature Communications
2011年3月9日
結節性硬化症患者に由来する、TSC2タンパク質の欠損した繊維芽細胞をマウスの皮膚に移植したところ、毛包の形成が促進され、この移植細胞には、良性腫瘍の特徴が見られた。この新知見は、TSC2タンパク質を持たない細胞が、過誤腫(正常な組織の異常な発育あるいは増殖)を誘導することを示唆している。 結節性硬化症患者は、TSC1遺伝子あるいはTSC2遺伝子が変異しており、その遺伝子の1コピーが不活化している。また、この患者には、良性の過誤腫も見られる。過誤腫は、細胞にTSC1あるいはTSC2遺伝子の変異が蓄積すると発生すると考えられている。今回、T Darlingらは、過誤腫を引き起こす細胞には、正常に機能するTSC2タンパク質が欠損しており、一部の移植細胞では毛包形成が促進されることを明らかにした。この過誤腫異種移植モデルは、組織の形成に関する研究を進めるうえで有用なものと考えられる。以上の研究結果は、今週、Nature Communicationsに掲載される論文において報告される。
doi:10.1038/ncomms1236
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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