遺伝学:ヤクがどのように低酸素環境に適応したのかを調べる研究
Nature Communications
2022年9月7日
高地で生きられるようになったヤクの遺伝的適応と細胞的適応に関する識見を示した論文が、Nature Communications に掲載される。この知見は、ヤクに特異的な肺内皮細胞が低酸素環境で生存する能力に関係している可能性を示している。
家畜ヤク(Bos grunniens)と野生ヤク(Bos mutus)は、低酸素濃度を特徴とするチベット高原の高度の高い地域(海抜3000~6000m)に生息している。外来種の哺乳類(ヒトを含む)は、低酸素状態に曝露されると、重篤な肺疾患と心疾患を発症する。しかし、数百万年にわたって低酸素環境に適応してきた野生ヤクや家畜ヤクにそのようなことは起こらない。
今回、Qi-En Yangたちは、ヤクが低酸素環境に適応した過程を調べるために、ゲノムデータとトランスクリプトームデータを組み合わせて、家畜ヤクと野生ヤクの質の高いゲノムアセンブリだけでなく、さまざまな型の肺細胞のマップを作製した。その結果、ヨーロッパウシとヤクで発現の異なる127個の遺伝子が特定され、ヤクの肺組織においてのみ見られる内皮細胞サブタイプが特定された。そして、このヤクに特異的な細胞サブタイプは、高地適応に関与している可能性のある遺伝子を発現することが明らかになった。
今回の知見は、ヤクの高地環境への遺伝的適応を解明する手掛かりとなり、他の哺乳類の低酸素環境に対する異なった応答を理解する上で重要な意味を持っている可能性があるとYangたちは結論付けている。
doi:10.1038/s41467-022-32164-9
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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