気候科学:春季の北極オゾン減少は北半球の気候を変化させる
Nature Geoscience
2022年7月8日
北極域全体で春季にオゾン減少が繰り返し起きる事象(人類によるオゾン層破壊ガスの放出の結果)は、一時的に北半球の温度と降雨のパターンを変化させる可能性があることを示したけんきゅうが、Nature Geoscience に掲載される。
地球大気のオゾン層は、太陽からの有害な可能性がある紫外線放射を吸収する上で重要な役割を果たしている。クロロフルオロカーボンなどのガスの放出はこの数十年にわたりこの層を損傷して、大気のエネルギー収支に影響を与えてきた。南極に恒常的に存在するオゾンホールは南半球の地表条件に影響を及ぼしていることが知られている。しかしながら、北半球において同様の地表気候への影響があるかは明らかではない。
今回Marina Friedelたちは、過去40年間(1980〜2020年)に得られた大気データを分析し、北極域で顕著なオゾン層の減少が見られた年を特定した。著者たちは、春季に特にオゾン量が少ない期間は、決まってその数週間後に、ヨーロッパ北部では湿潤な条件に、ヨーロッパ南部とユーラシアでは温かく乾燥した条件となることを明らかにした。著者たちは、オゾンの化学的性質を正確に表現した2つの気候モデルを用いて、オゾン減少の効果を、無関係な大気循環過程から抜き出すことができた。オゾン減少は成層圏(地球大気の2番目の層)の冷却をもたらすことが分かった。このように冷却されることで極渦(冷たい北極の空気を南側にもたらす気候現象)の存在が春季まで延長され、北半球に地表温度と降雨の異常を生じさせた。
著者たちは、このようなオゾンのフィードバックを考慮することで、数週間から数か月先の北半球の気候条件の予測を大きく改善させることができると結論している。
doi:10.1038/s41561-022-00974-7
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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