Research Press Release
堆積層がヒ素汚染を限定的にしている
Nature Geoscience
2011年10月10日
堆積層によるヒ素の吸着は深部地下水の汚染を限定的なものにしているとの報告が寄せられている。
ヒ素濃度の増加は、南部および東南アジアの多くの地域の浅部地下水では普通に見られる。しかし、深部地下水をくみ上げることでヒ素に富んだ水が上から浸入することが心配されている。K Radloffらはバングラディシュの深部帯水層へヒ素を多く含んだ水を注入し、水を回収した後のヒ素濃度を監視した。その結果、24時間後に回収した水のヒ素濃度は注入時に比べて70%低下したが、トレーサーの濃度は一定に保たれたことがわかった。Radloffらは、ヒ素濃度の低下は堆積層に吸着したためであるとしている。
Radloffらは次に、ベンガル盆地における地下水流を実験データによりシミュレーションするモデルを用いた。シミュレーション結果は堆積層によるヒ素の吸着は、深部地下水がヒ素汚染危険性が低いために使用可能である地域を拡大させていることを示唆している。
doi:10.1038/ngeo1283
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
注目のハイライト
-
古生物学:南米の琥珀層に古代昆虫が「ひしめき合う」Communications Earth & Environment
-
気候変動:山火事の煙による年間死亡者数は増加すると予測されるNature
-
人工知能:DeepSeek-R1 AIモデルの背後にある科学Nature
-
医療科学:医療を導くAIツールNature
-
気候変動:温暖化によるサンゴ礁の緩衝機能の危機Nature
-
神経科学:繰り返される頭部外傷は若年アスリートの脳細胞を変化させるNature