惑星科学:水に富む系外惑星における電解質輸送のモデリング
Nature Communications
2022年6月22日
このほど実施されたモデル化研究で、水の豊かな系外惑星の海洋に、電解質(塩化ナトリウムなどの塩類を含む)が豊富に含まれている可能性のあることが示唆された。今回の研究は、これらの系外惑星の岩石のコアから電解質を輸送されているという考えを提示しており、太陽系外惑星の海洋世界に生物が存在している可能性に関して重要な意味を有している可能性がある。この研究について報告する論文が、Nature Communications に掲載される。
水に富む系外惑星や氷衛星は、生物学的過程が生じる環境として有望視されている。これらの惑星は、岩石のコアと液体の水が高圧の氷殻で隔てられた構造になっている。岩石のコアから液体の海洋への電解質の輸送が、この高圧の氷殻によって妨げられているのかどうかが論争のテーマになっている。
今回、Jean-Alexis Hernandezたちは、分子動力学シミュレーションと熱力学モデル化を用いて、系外惑星の氷層と海洋の間で電解質が輸送されるプロセスを調べた。その結果、塩化ナトリウムなどの塩類が高圧の氷殻に取り込まれ、氷を通って海洋へ輸送されるかもしれないことが明らかになった。これにより、高圧の氷のマントルが岩石のコアと液体の海洋との間の化学的障壁として作用していない可能性があることが実証された、とHernandezたちは主張している。
同時掲載されるBaptiste JournauxによるCommentでは、今回の研究が「大きな惑星の水圏に生命が存在する可能性というジレンマを解決する上で、これまでで最も説得力のある見解を展開している」と指摘されている。
doi:10.1038/s41467-022-30796-5
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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