Research Press Release

公衆衛生:COVID-19ワクチン忌避を克服するには

Nature

2022年6月2日

チェコ共和国で、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)ワクチンに関する医師の見解に対する一般人の誤解を正すと、ワクチン接種率が上昇することが実証された。今回の知見は、ワクチン忌避において、専門家の見解に対する認識が果たす役割を浮き彫りにし、信頼されている専門家の意見に関する明示的で正確な情報を提供することによってワクチン忌避を克服できることを明らかにしている。この結果を報告する論文が、Nature に掲載される。

ワクチン忌避の原因を特定することは、COVID-19パンデミックなどの疾患のアウトブレイク(集団発生)に対処する上で中心的な課題の1つとなっている。まだ多くの人々がワクチン接種に躊躇しており、ワクチン接種の忌避(特にCOVID-19ワクチンの忌避)を克服するために役立ち、拡張適用が可能な方法の開発は、世界的に政策上の優先事項になっている。たとえワクチンについての幅広い合意が医師の間で形成されていても、医師の間でワクチン論争が起こっているといった不正確な印象がマスコミ報道によって生み出される可能性のあることが以前の研究によって明らかになっている。医師は信頼できる存在と受け取られていることが多いため、COVID-19ワクチンに関する医師の見解を正しく報道すれば、ワクチン接種を促進できる可能性がある。

この方法でうまくいくのかどうかを見極めるには、まず医師の見解に関する一般人の印象に誤りがないかどうかを突き止める必要がある。そこで、Vojtěch Bartošたちは、チェコ共和国の全国代表サンプル(参加者2101人と医師9650人)で意識調査を行った。その結果、一般集団において90%以上の人々が、医師のワクチンに対する信頼と医師自身がワクチン接種を受ける意思に関して過小評価をしており、大部分の人々は、ワクチンを信頼し、ワクチン接種を受ける意思を持っている医師の割合がわずか50%と推測していた。しかし、実際には医師全体の90%がワクチン接種を受ける意思を持っており、自らが担当する患者にワクチン接種を推奨する計画をしている医師が全体の95%を占めていた。次に、医師の見解の正しい内容が、参加者のうち無作為に選ばれた半数だけに伝えられた。そして、参加者全員の行動が監視され、COVID-19ワクチンの接種が始まった直後の2021年3月から9か月間続けられた。医師の見解の正しい内容を知らされた被験者は、知らされなかった被験者と比べて、ワクチン接種が起こり得る確率が4ポイント高くなり、この効果は、比較的安定していた。以上の結果は、この介入方法によって参加者の考えを再修正し、ワクチン需要の持続的かつ安定的な増加につなげられることを示している。

チェコ共和国の国民は、他の多くの国々での観察結果に似たワクチン忌避を示していたため、Bartošたちは、今回の研究で得られた知見を他の国々にも拡大適用できる可能性があるという考えを示している。また、各国の医師会は、医師の個人的見解に関するデータを大規模に収集する能力を有しているため、国民の誤解を正し、他の集団の行動に永続的な影響を与える低コストでスケーラブルな介入策を定めるうえで貢献できる可能性があるとBartošたちは主張している。

doi:10.1038/s41586-022-04805-y

「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。

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