免疫学:SARS-CoV-2に対するmRNAワクチン候補の最適化でカニクイザルの感染防御力が高まった
Nature
2021年11月19日
重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2SARS-CoV-2に対するキュアバック社製の第2世代mRNAワクチンは、第1世代ワクチンと比べて非ヒト霊長類の免疫応答が向上することを報告する論文がNature に掲載される。この第2世代ワクチンについて計画されている臨床試験では、この免疫応答の向上がヒトにおける有効性の向上につながるかどうかが評価される。今回の研究では、将来的にmRNAワクチンを最適化する方法も明らかになった。
キュアバック社製の第1世代SARS-CoV-2ワクチンであるCVnCoVは、最近、ヒトにおける第IIb/III相有効性試験で評価が行われ、症候性の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に対するワクチン有効性が約48%という観察結果が得られた。一方、第2世代ワクチンのCV2CoVは、ウイルス抗原の発現が向上するように改変されている。今回、Dan Barouchたちの研究グループは、非ヒト霊長類を対象として2種のワクチンを比較して、こうした改変によってワクチン有効性が高まるかどうかを調べた。
今回の研究では、CVnCoV、CV2CoVのいずれかで免疫されたカニクイザルと偽対照のカニクイザル(各群n =6)が用いられた。CV2CoVは、CVnCoVよりも免疫応答を増強し、B細胞応答とT細胞応答も向上させた。CV2CoVを接種された個体は、CVnCoVを接種された個体よりもSARS-CoV-2感染に対する防御力が強化され、上下気道のウイルス量が著しく減少した。第2世代ワクチンは、SARS-CoV-2変異株(デルタ変異株を含む)に対する中和抗体反応を強化する作用もあった。また、Barouchたちは、CV2CoVを接種されたカニクイザルに生じる中和抗体応答がファイザー社製BNT162b2ワクチンに匹敵することを明らかにした。
キュアバック社製のSARS-CoV-2ワクチンは、第1世代、第2世代のいずれにもSARS-CoV-2ウイルスのスパイクタンパク質をコードするmRNAが組み込まれている。Barouchたちは、第2世代のmRNAワクチンに施された改変によって遺伝物質の非コード領域が最適化されてタンパク質発現が向上し、これがCV2CoVの防御効果を高めたと結論付けている。
doi:10.1038/s41586-021-04231-6
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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