考古学:人類がユーラシアで宝飾品の装飾をしたことを示す最古の証拠
Scientific Reports
2021年11月26日
マンモスの骨から作られ、装飾された楕円形のペンダントが、4万1500年前のものとされ、人類が装飾を施した宝飾品の最古の実例になったことを報告する論文が、Scientific Reports に掲載される。
今回、Sahra Talamoたちは、2010年にポーランドのスタイニャ洞窟で発見されたペンダントと馬の骨でできた道具である千枚通しを分析した。Talamoたちは、高度な放射性炭素年代測定法を用いて、ペンダント、千枚通し、骨断片の年代を後期旧石器時代初期(4万2000~3万7000年前)と決定した。放射性炭素年代測定法は、放射性炭素の存在量を測定することによって有機試料の年代を決定する方法だ。Talamoたちによると、これらの出土品は、ユーラシアで人類が宝飾品の装飾をしていたことを示す最古の証拠であり、人類の進化における象徴的行動の出現だとされる。
このペンダントの装飾として、50か所以上の穿刺跡が不規則なループ状曲線に並んだパターンと、2つの完全な穴が見つかった。Talamoたちは、この刻み目のパターンが、その後の時代のものとしてヨーロッパで発見された宝飾品における刻み目に似ており、獲物の数を記録したもの(数学的な計数システム)、あるいは月や太陽の約1か月の周期に対応する陰暦表記である可能性を指摘している。
Talamoたちは、ペンダントと骨製千枚通しと共に動物の骨が存在することは、人類がユーラシア全土に広がり始めた4万1500年前に、携帯できる小さな芸術作品を作製し始めたことを示していると考えられると述べている。
doi:10.1038/s41598-021-01221-6
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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