符合の調整
Nature Neuroscience
2011年9月12日
空間ナビゲーションを行う脳領域にある特定の細胞の活性化パターンは、厳密に位置を確認できるようにする斬新な数学的符合化方式と類似点があることが、Nature Neuroscience(電子版)の論文で報告されている。
グリッド細胞は、記憶とナビゲーションに重要な領域である嗅内皮質におもに見られるニューロンの一種で、動物の居場所に従って(決まった場所にいるほど)独特の反復パターンで応答する。例えば、ラットが入り組んだ迷路のどこにいるかを符合化するにはグリッド細胞が重要らしいが、この反復パターンがそのような位置確認にどう役立つのかは明らかでない。
S SrinivasanとI Fieteの研究は、グリッド細胞の設計原理が、オンライン小売業者Amazonのものと同じかもしれないと示唆している。Amazonでは、注文を間違いなく確実に完了するためにこの設計原理を利用している。Amazonの倉庫は、店舗とは違って類似商品を隣どうしにおく必要はなく、例えばサイズ12のTシャツがサイズ違いの同じTシャツの隣ではなく、書籍の隣にあるかもしれない。混同を避けるため類似商品を近くに置かないというこの基本原則に従うことで、注文品を集める際に間違う可能性が減る。
同様に、グリッド細胞は似たような場所どうしを抽象的な数学的「符号化空間」内のもっと離れたところに符号化しておくというやり方で、動物が似たような場所を混同しにくくすると著者らは示唆している。
doi:10.1038/nn.2901
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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