化学:質の高いチョコレート作りを助ける分子
Nature Communications
2021年9月1日
チョコレートの製造過程でリン脂質分子を添加するという方法を用いれば、複雑なテンパリング(加熱・せん断)工程を行わなくても高品質のチョコレートを作れることを示唆する論文が、今週、Nature Communications に掲載される。この方法で、チョコレートの製造を簡素化できるかもしれない。
質の高いチョコレートの特徴として、食感、光沢、スナップ性(パキッと割れる性質)、口溶けの良さなどがあり、こうした特徴は、ココアバターが有する結晶構造に依存している。ココアバターの結晶構造は、結晶化していろいろな結晶型をとるが、チョコレートに最も望ましい特性をもたらすのはV型結晶だけだ。チョコレートのメーカーは、できるだけ多くのV型結晶を得るために、テンパリングに注力しているが、この工程は、多くの時間と労力を要し、一貫性を保持できないことが多いため、チョコレートの質の低下につながっている。
今回、Alejandro Marangoniたちは、テンパリング工程の改変の余地を検討した。その結果、ココアバターに少量のリン脂質分子を加えると、結晶化が加速され、V型結晶が形成されることが明らかになった。そして、結晶化過程にある市販のチョコレートのサンプルとリン脂質分子を混合すると、テンパリングを行わずに、最適な硬度、光沢、微細構造を有する最終製品が得られた。
Marangoniたちは、チョコレートの製造工程でこの方法を用いると、チョコレートが確実に最適な特性を備えるよう制御できる可能性があり、最終的には複雑なテンパリング工程への依存を減らせる可能性があるという考えを示している。
doi:10.1038/s41467-021-25206-1
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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