生物学:ウミヘビの攻撃は相手を誤認した求愛行動かもしれない
Scientific Reports
2021年8月20日
有毒なオリーブウミヘビ(Aipysurus laevis)がスキューバダイバーを攻撃するのは、相手を誤認した求愛行動だとする見解を示した論文が、Scientific Reports に掲載される。
何もしていないのにウミヘビに攻撃されたと報告するスキューバダイバーが多く、追跡されたり、咬まれたりすることがある。しかし、こうした攻撃を受ける理由は明らかになっていない。
今回、Rick Shineたちは、1994~1995年に収集されたデータ(論文著者の1人であるTim Lynchがオーストラリアのグレートバリアリーフでダイビングをしていた時に遭遇したオリーブウミヘビの行動について記述したデータ)を分析した。Lynchは、ウミヘビに158回遭遇し、そのうちの74回でウミヘビが近づいてきた。この行動は、5~8月の交尾期に頻繁に起こっていた。特に交尾期には、雄のウミヘビは、雌よりも頻繁にダイバーに接近し、ダイバーの体の近くで、舌をチロチロと出し入れした。また、13回の遭遇では、ウミヘビが急に突進してくる攻撃があった。全ての攻撃は、交尾期に起こっており、雄による攻撃は、雌の追跡に失敗した直後や雄のライバルとの相互作用の直後に生じることが観察された。また、3匹の雄がダイバーの足ヒレに巻き付く行動をとったことも観察された。このように巻き付く行動は、通常、求愛中に観察されている。雌による攻撃は、雄に追跡された後に起こり、あるいは雄を見失った後にダイバーに接近したというものだった。
これまでの研究から、ウミヘビは水中の物体の形状をうまく識別できないことが示唆されている。Shineたちは、ウミヘビが攻撃する理由として、雄のウミヘビがダイバーをライバルのウミヘビや交尾相手の候補と誤認し、雌のウミヘビがダイバーを隠れ場所の候補と認識することが考えられるとしている。Shineたちによれば、ウミヘビが近づいてきたときには、そのまま動かず、ウミヘビに舌で探索させておけば、この遭遇がエスカレートして、ダイバーがウミヘビに咬まれる可能性は低いという。
doi:10.1038/s41598-021-94728-x
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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