Research Press Release
酸性の行程を生き抜く
Nature Chemical Biology
2011年9月5日
酸ストレスから細胞を保護するために共同で働く協力的なタンパク質群が、ヒトの消化管を通過する細菌から発見されたことが、Nature Chemical Biology(電子版)で発表される。
タンパク質は、酸性度の高い環境に遭遇すると、通常の安定した構造が崩壊する場合があり、一定量のタンパク質が構造を失うと、細胞は正常に活動することができなくなって死に至る。シャペロンという一群のタンパク質は、ほかのタンパク質が構造を失わないようにしたり、一度失った構造を復元させたりする。
Z Chang、P Chenたちは、シャペロンと「クライアント」(選択的なタンパク質基質)とを結びつけて両者の相互作用を明らかにする新たに設計した非天然アミノ酸を利用して、そうしたシャペロンの1つに関してクライアントを探索した。クライアントの中からはさらに2つのシャペロンが発見され、その後の試験により、それが元のシャペロンと共同してほかのタンパク質の構造の復元を迅速化させることが明らかにされた。この協力的なメカニズムは、酸性環境に踏み込んだ細菌が生還する仕組みを説明している。
doi:10.1038/nchembio.644
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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