Research Press Release

持続可能性:安価なプラスチックが持続可能な布地に変わる

Nature Sustainability

2021年3月16日

環境フットプリントの小さいポリエチレン製の布地が新たに開発されたことを報告する論文が、今週、Nature Sustainability に掲載される。

ファッション産業は、世界で最も汚染を生み出している産業の1つで、これに次ぐのは石油・ガス産業である。紡織業は、大量の水を消費し、数百万トンの廃棄物と共に、全球の温室効果ガスの5~10%を毎年生み出している。また、織物の維持管理には、製造段階よりもさらに多くのエネルギーと水を消費することが多い。

今回Svetlana Boriskinaたちは、標準的な紡織業の工程と設備を用いて、ポリエチレンでできた繊維、糸、布地を作った。ポリエチレンは、現在最もよく使われているプラスチックの1つで、十分にリサイクルできる。Boriskinaたちは、この布地が、化学処理をしなくても汚れにくく、効率よく吸湿・急速乾燥できることを見いだした。ポリエチレンの糸は、環境にやさしい方法で着色できるので、従来の工程で生成されるような有毒な廃水を生み出さない。またBoriskinaたちは、ポリエチレンを使うことで、使用段階での布地の環境フットプリントを大幅に小さくできることも見いだした。

Boriskinaたちは、この布地が、紡織業をはじめとするさまざまな応用や消費者市場に、独特な利点をもたらす可能性があると結論付けている。

doi:10.1038/s41893-021-00688-5

「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。

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