COVID-19:COVID-19によって2050万年分以上の命が失われたかもしれない
Scientific Reports
2021年2月19日
全世界で2050万年以上の生存年が新型コロナウイルス感染症(COVID-19)によって失われ、死者1人当たり平均16年が失われた可能性があり、COVID-19の影響が深刻な国々では、COVID-19による損失生存年数(YLL;死者の死亡時年齢と平均寿命の差)が、平均的な季節性インフルエンザによるYLLの2~9倍に達する可能性のあることが明らかになった。この研究結果について報告する論文が、Scientific Reports に掲載される。
今回、Héctor Pifarréi Arolas、Mikko Mÿrskylaたちの研究チームは、81か国の127万9866人以上の死者に関するデータと平均寿命に関するデータと国別のCOVID-19死亡数の総数に関する予測を用いて、COVID-19によるYLLの推定値を算出した。
この論文では、研究対象となった81か国で、COVID-19によって合計2050万7518年の生存年が失われ、死者1人当たり16年の生存年が失われたという推定結果が示されている。YLLの総計の44.9%は55〜75歳で死亡した者、30.2%は55歳未満で死亡した者、25%は75歳超で死亡した者が占めていると考えられ、性別の死亡数データが入手可能だった国では、男性のYLLが女性よりも44%多かった。全世界の一般的な死因と比較すると、COVID-19に関連するYLLは、季節性インフルエンザに関連するYLLの2~9倍で、心疾患に起因するYLLの4分の1から2分の1だった。
著者たちは、今回の結果が、現在も続くCOVID-19のパンデミック(世界的大流行)の状況下で理解される必要があると注意を促している。この結果は、2021年1月6日時点でのYLLに対するCOVID-19の影響可能性を示しているにすぎないのだ。COVID-19関連死を正確に記録することは困難であるため、YLLの推定値は過大かもしれないし、過小かもしれない。
doi:10.1038/s41598-021-83040-3
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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