地球科学:遅発性のスラブ雪崩がディアトロフ峠事件の謎解きにつながるかもしれない
Communications Earth & Environment
2021年1月29日
1959年にウラル山脈のディアトロフ峠で9人の登山者が死亡した事件については、何十年もの間、説明がついていない。この事件について、特異な地形、登山者がテントを張るために雪の斜面を削ったこと、その後に氷のように冷たい強風によって雪が堆積したことなどの複合的要因が引き金となって雪崩が発生し、テントにいた経験豊富な登山者たちが気温マイナス25度の屋外に飛び出して命を落としたという仮説を示した論文が、今週、Communications Earth & Environment に掲載される。
1959年にウラル山脈へのスキー登山遠征に出掛けた9人のロシア人登山家のグループが全員死亡し、当時のソ連当局の調査から、全員が「抗いがたい自然の力」によって死亡したという結論が示された。登山者たちの主たる死因は低体温症だったが、薄着の状態でテントを飛び出した理由や、4人の頭部や胸部に外傷があった理由は明らかになっていない。
今回、Alexander PuzrinとJohan Gaumeは、登山者たちがテントを設置した環境条件下で発生するスラブ雪崩の分析モデルを示している。このモデルから、登山者たちがテントを風から守るために雪の斜面を削ってから9.5~13.5時間後に雪崩が発生した可能性があると推定された。このことは、事件の発生時刻に関する証拠と一致する。PuzrinとGaumeはまた、この雪崩によって生じる可能性の高い外傷の三次元数値シミュレーションを示し、それが検死報告書と一致していることを明らかにした。
doi:10.1038/s43247-020-00081-8
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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