疫学:米国の全ての人々がマスクを着用すれば、2021年2月末までに130,000人近くの命が救われる可能性がある
Nature Medicine
2020年10月23日
米国では新型コロナウイルス感染症(COVID-19)によって命を失う人が2021年2月28日までに50万人を超える恐れがあることを示したモデル研究が、Nature Medicine に掲載される。この研究ではまた、全ての人々がマスクを着用するユニバーサルマスキングが実行されれば、流行が復活しても多くの州で最悪の事態が防がれ、50万人のうちの13万人近くを救えるだろうと予測している。
COVID-19に対するワクチンで認可されたものはまだなく、米国ではCOVID-19の治療に使える薬剤の選択肢も少ない。従って、ウイルス伝播を抑えるのに使える手段は、マスクの着用、ソーシャル・ディスタンシング、検査数を増やし感染者を隔離するといった非薬理学的介入しかない。
C Murrayたちは、米国で重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2(SARS-CoV-2)感染が初めて記録されてから2020年9月21日までの感染拡大の経過と非薬理学的介入の影響を州レベルで疫学的に解析した。著者たちは「感受性者、潜伏期感染者、発症者、回復者」という分類(SEIRモデル)を使い、いくつかの変数(季節性肺炎、移動性、検査率、1人当たりのマスク着用率など)の予想値を組み入れて、ソーシャル・ディスタンシングの強制やマスク使用のレベルについて、2020年9月22日から2021年2月28日にわたるさまざまなシナリオを作成して評価した。その結果、米国はこの冬の間ずっと、COVID-19という公衆衛生上の難問に直面し続ける可能性が高く、特にカリフォルニア州、テキサス州、フロリダ州といった人口の多い州では、罹患者、死亡者(51万1373にも上る)と病院資源の需要が高いレベルになることが、全てのシナリオで示された。
しかし、新たな流行や流行の復活は避けられないわけではないと著者たちは考えている。いくつかの州では、COVID-19患者の減少が長期間にわたって持続している。マスク着用は、比較的手頃で影響の少ない介入方法で、米国全体で死亡を減らせる可能性がある。ユニバーサルマスキングが実施され(もし各州で人口の95%が公衆の面前では常にマスクを着用するならば)、2021年2月末までに命が助かる人が12万9574人増え、マスク着用がこれより少ない場合でも9万5814人の命が救われるだろうと、著者たちは推定している。
doi:10.1038/s41591-020-1132-9
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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