Research Press Release
石灰化生物の殻や骨格を酸性化した海水から守る有機層
Nature Climate Change
2011年8月22日
海洋石灰化生物の外側の有機層は、海水の腐食作用から殻や骨格を守るうえで、これまで知られていなかった重要な役割を果たしている可能性が明らかになった。この研究成果を報告する論文が、Nature Climate Change(電子版)に掲載される。
今回、R Rodolfo-Metalpaたちは、一連の移植実験と自然の大気中二酸化炭素濃度勾配を用いて、サンゴと軟体動物が、今後300年間について予測されている高い二酸化炭素濃度にさらされても、通常より速く石灰化し、成長できることを明らかにした。Rodolfo-Metalpaたちは、石灰化生物の殻や骨格が、健全な組織の下に付着して大きくなるが、それでも海水のpH値が低下すると、海水にさらされた殻と骨格が溶け出すリスクはなくならず、無傷の外側の保護層を有する殻と骨格だけが海水から守られる、という考え方を示している。また、今回の研究では、高温と同時に酸性化が起こると、気候変動の悪影響が増幅されることも判明した。
doi:10.1038/nclimate1200
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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