Research Press Release
医学研究:インスリン産生オルガノイドを使ってマウスの糖尿病を治療する
Nature
2020年8月20日
糖尿病マウスに移植すると、免疫拒絶を起こさずにグルコース恒常性を回復させることのできる機能的なヒト膵島様オルガノイド(HILO)が作製されたことを報告する論文が、今週、Nature に掲載される。
膵島は、膵臓のホルモン産生細胞のクラスターであり、膵島の移植は、1型糖尿病と末期2型糖尿病の患者における長期的なグルコース調節を可能にする方法だが、死体由来の膵島は質にばらつきがあり、限られた量しか利用できない。一方、ヒト幹細胞由来のインスリン産生膵臓β細胞を用いれば、1型糖尿病の症状を長期的に軽減でき、移植を回避できるが、正常に機能するβ細胞を生成することは依然として難しい。
今回、Ronald Evansたちの研究チームは、免疫抑制剤の慢性投与を必要とせず長期的な血糖の調節を回復でき、移植可能な内分泌様細胞の新たな供給源となり得る三次元HILOを作製する技術について報告している。Evansたちは、Wntシグナル伝達経路を利用して、インスリン分泌に必要なHILOの代謝成熟を促進した。この方法は、PD-L1免疫チェックポイントタンパク質の発現を誘導し、糖尿病マウスへの移植後50日間にわたって免疫拒絶を抑制した。
今回の研究は、免疫抑制を必要とする死体由来の膵島や、装置に依存する技術を用いない新たな糖尿病の治療法を開発するための現在進行中の研究に寄与する。
doi:10.1038/s41586-020-2631-z
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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