考古学:ヒトが早くから北米大陸に到達していたことを示す証拠
Nature
2020年7月23日
ヒトが3万年前から北米に住んでいたことを明らかにした2編の論文が、今週、Nature に掲載される。これら2つの研究は、アメリカ大陸への居住というかなり議論のある論点を解明するための手掛かりをもたらしており、アメリカ大陸でのヒトの歴史が、これまで考えられていたよりもずっと以前までさかのぼることを暗示している。
ヒトがアメリカ大陸に到達したことは、地球上でヒトの居住域が大きく広がったことを意味する。従来の学説では、ヒトが初めてアメリカ大陸に到達したのは約1万3000年前で、特徴的な石器で知られるクローヴィス文化に関連していたとされる。しかし、アメリカ大陸への移住の時期とパターンは、議論の的になっている。
Ciprian Ardeleanたちの論文では、メキシコ中部のサカテカスの洞窟での石器、植物遺物、環境DNAなどの発掘結果が記述されている。これらの発掘知見は、年代を示す証拠と合わせて、この高地の洞窟に約3万~1万3000年前にヒトが居住していたことを示唆している。Lorena Becerra-ValdiviaとThomas Highamの論文では、北米とベーリンジア(過去にロシアと米国をつないでいた地域)の遺跡42か所の放射性炭素年代測定とルミネセンス年代測定の結果を用いて、ヒトの分散パターンが決定された。彼らが作成した統計モデルから、クローヴィス文化以前にヒトが存在していたことを示すロバストなシグナルが明らかになり、その年代が、遅くとも最終氷期極大期(約2万6000~1万9000年前)とその直後であることが分かった。
以上の研究結果は、北米には、これまで考えられていたよりもずっと早い時期(最終氷期極大期よりも前の可能性もある)から、少なくともわずかな移住者がいたことを暗示している。この知見は、ヒトがアジアからベーリンジア経由で初めて北米に入り、南に向かって移動して、クローヴィス文化を発展させたというシナリオとは整合性がない。新たに年代決定されたのはクローヴィス文化以前であり、これはヒトが初めてアメリカ大陸に入ったのが太平洋岸沿いの経路だったことを示唆している。
doi:10.1038/s41586-020-2509-0
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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