生物工学:CRISPR技術を用いたSARS-CoV-2の迅速診断ツール
Nature Biotechnology
2020年4月17日
CRISPR技術を用いてSARS-CoV-2を検出する迅速診断ツールについて報告する論文が、Nature Biotechnology に掲載される。この診断ツールは、約45分で結果が得られ、従来のRT-PCR検査に匹敵する精度を達成できる。
これまでに数々の大規模な感染症の流行が発生し、効果的な公衆衛生対策を可能にするような迅速で利用しやすい検査法が必要なことが明確になっている。しかし、現行のSARS-CoV-2検査法では、結果が出るまでに数時間から数日かかる。
今回、Charles Chiuたちの研究チームは、CRISPR–Cas12を利用した新しい検査法「SARS-CoV-2 DNA Endonuclase-Targeted CRISPR Trans Reporter(DETECTR)」について報告している。DETECTRは、COVID-19患者の呼吸器スワブから抽出したRNAからSARS-CoV-2を特定できる。この検査では、RNA検体を取り出してDNAに逆転写し、等温増幅法で増幅した後、CRISPR–Cas12を用いて、SARS-CoV-2のエンベロープ(E)とヌクレオカプシド(N)の遺伝子塩基配列の検出を行う。CRISPR–Cas12は、ウイルスの存在を確認するレポーター分子を切断する。Chiuたちが、COVID-19患者(36人)とその他の呼吸器疾患患者(42人)の臨床検体を使って、この検査法を検証したところ、米国疾病管理予防センターで使用されている逆転写(RT)-PCR検査と比較して、陽性予測一致率95%、陰性予測一致率100%が達成された。
RT-PCR検査は、数時間を要し、特別な機器と特殊な加熱・冷却サイクルを必要とする。これに対して、DETECTRは、2つの決まった温度で実施され、約45分後に検査紙に結果が表示され、家庭用妊娠検査薬のように、目で見て確認できる。
doi:10.1038/s41587-020-0513-4
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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