遺伝学:座位の余暇活動に関連する遺伝的座位の同定
Nature Communications
2020年4月22日
座位の余暇活動のいくつかと関連する遺伝的座位について報告する論文が、今週、Nature Communications に掲載される。この論文は、遺伝的解析と観察データの解析に基づき、テレビの視聴時間が長期化することが、冠動脈疾患(CAD)のリスク因子となる可能性を示唆している。
今回、Niek Verweijたちの研究チームは、座位行動に遺伝的要因がどのように影響するのかを解明して、座位行動が冠動脈疾患の潜在的な発生リスク因子となるかどうかを調べるために、ゲノム規模関連解析を実施した。今回の研究では、英国バイオバンクの研究に参加したヨーロッパ系の42万2218人(40~69歳)のデータを用いて、座位の余暇活動に関連する169の遺伝的座位を同定した。そのうち、145座位がテレビの視聴に関連し、36座位がコンピューターの使用に関連し、4座位が自動車の運転に関連し、16座位が上記の形質のうちの2つに重複的に関連していた。また、メンデル無作為化解析によって、1日のテレビ視聴時間が1.5時間増える場合(平均視聴時間が2.8時間超の場合)、冠動脈疾患の高リスク因子となると推定された。これに対して、コンピューター使用や自動車運転は、冠動脈疾患との関連が確立されなかった。
Verweijたちは、座位行動に関する情報が、コホートに属する者の主観的な測定によるものであり、その職業に関連する座位行動が含まれていない点に注意を要するとし、さらなる研究を行って、座位行動、身体活動と睡眠行動の全体に解析対象を広げる必要があると指摘している。
doi:10.1038/s41467-020-15553-w
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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