生態学:土壌細菌が匂いを出して動物を誘引する
Nature Microbiology
2020年4月7日
ある種の土壌細菌が独特な匂いを放出して動物を誘引し、それが環境中での勢力拡大に役立っていることを明らかにした論文が、Nature Microbiology に掲載される。
細菌は揮発性の化合物を多数生産し、ヒトなどの大型の生物はこれを感知する。ストレプトマイセス属Streptomycesの細菌は土壌中に広く存在し、雨が降った後の地面に特徴的な「土くさい」匂いの元になるゲオスミンという有機化合物を作る。しかし、細菌がなぜゲオスミンを作るのか、理由は不明である。
今回、Klas Flärdhたちは野外実験と研究室での実験を組み合わせて、ストレプトマイセス属の出す匂いが土壌中に生息する動物、特に節足動物を誘引するかどうかを調べた。ストレプトマイセス属を餌として野外に多数のワナを仕掛けたところ、トビムシ(翅のない小型の節足動物で、昆虫と非常に近い関係にある)がこの細菌に引き寄せられることを明らかにした。研究室での実験では、トビムシはゲオスミンを触角で直接感知することが観察された。また、トビムシがこの細菌を餌にすると、細菌の芽胞がトビムシの体に付着した。その後トビムシは、芽胞を体表につけたまま、または摂取した芽胞を糞として環境中にまき散らした。
著者たちは、これらの観察結果から、このような細菌由来の匂い物質が果たす、動物を誘引して幅広い環境中に細菌を分散させるという生態学的役割が明らかになったと述べている。
doi:10.1038/s41564-020-0697-x
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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