Research Press Release
進化学:革新性を有する鳥類は絶滅しにくい
Nature Ecology & Evolution
2020年4月7日
新しい状況に対処するために行動を変化させる鳥類種は対処しない種よりも絶滅しにくいとすることを示した論文が、Nature Ecology & Evolution に掲載される。
革新を行う能力は種を絶滅リスクに強くする、と長年考えられてきたが、それを全球レベルで徹底的に検証することは困難であった。
今回、Simon Ducatezたちは、世界の多くの地域から集めた8600種以上の鳥類のデータセットを解析した。このデータセットには、種の食餌への新たな食物資源の取り込みや新規の採餌法を記録した3800件以上の新規行動の情報が含まれる。新しい行動の一例として、ニュージーランドの鵜(ウ)は、魚の捕り方を民間フェリーの動きに合わせることによって強い水流を利用することが観察されている。研究チームは、そうした行動データを種ごとの絶滅リスクの情報と照らし合わせた。そのモデリングにより、革新的な行動を示す種は絶滅リスクが低く、絶滅リスクが、そうした行動が増えるほどさらに低くなることが明らかになった。
また、行動の可塑性は生息地の変化による鳥類の絶滅リスクを低下させるだけであって、侵略種や乱獲に対する感受性には影響がないことも分かった。
doi:10.1038/s41559-020-1168-8
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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