気候変動:消えゆく砂浜
Nature Climate Change
2020年3月3日
現在の気候変動と海面上昇の傾向の下では、世界の砂浜の半数(その多くが人口密集地域に位置する)が21世紀末までに消滅する可能性のあることを示唆する論文が、Nature Climate Change に掲載される。
砂浜は、世界の海岸線の3分の1以上を占め、高い社会経済的価値を有する一方で、海洋性ストームとサイクロンから沿岸部を保護する自然の装置でもある。これに対して、浸食や海面上昇、天候パターンの変化が、海岸線とそのインフラと住民を脅かしている。
今回、Michalis Vousdoukasたちの研究チームは、1984~2015年の海岸線の変化を示す衛星画像データベースを分析し、この分析結果に過去の傾向をあてはめて、2つの異なる気候変動シナリオの下で今後の海岸線の動態を予測した。それによって、物理的要因(地質学的又は人為的要因)と海面上昇による海岸線後退に駆動される周辺の海岸線の変化が明らかになった。また、Vousdoukasたちは、海洋性ストームによる浸食が気候変動によってどのように変化し、それが海岸線にどのような影響を及ぼすのかを調べた。
今回の分析結果は、世界の砂浜の約50%が深刻な浸食のリスクにさらされていることを示している。2つの気候シナリオの両方で、特定の国々の浸食リスクが特に高くなっており、例えばガンビアとギニアビサウでは、砂浜の海岸線の60%以上が失われる可能性がある。また、消失が予測される砂浜の全長を分析したところ、オーストラリアが最も大きな影響を受けると考えられ、約1万2000キロメートルが危険にさらされている。また、カナダ、チリ、メキシコ、中国、米国も大きな影響を受けると考えられている。こうした推定値は、今後の研究の積み重ねによって精緻化できる可能性があり、人間活動による介入によって影響を受ける可能性もある。
doi:10.1038/s41558-020-0697-0
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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