Research Press Release
化石:最古の緑藻類が発見された
Nature Ecology & Evolution
2020年2月25日
約10億年前の岩石から発見されたミリメートルサイズの多細胞緑藻類の化石を記載した論文が、Nature Ecology & Evolution に掲載される。
光合成を行う緑色植物(緑色植物亜界)は、(分子時計やバイオマーカー分析によって)古原生代(25億~16億年前)からクライオジェニアン紀(7億2000万~6億3500万年前)までの間に生じたと推定されている。しかし、化石証拠が存在しないため、その年代を特定することは困難であった。また、緑色植物が多細胞性を発達させた時期も明らかにされていない。
Qing Tangたちは、10億年前のNanfen累層(中国遼寧省)から発見された新種の化石緑藻類を発表する。Proterocladus antiquusと命名されたその緑藻類種は、年代が古いにもかかわらず、多細胞性、分化して分岐した細胞、そして根のような構造など、現在の緑藻類と一致する複数の特徴を示している。
研究チームはP. antiquusの発見について、植物界の分岐が化石による従来の想定よりも早かったことを支持する分子時計の推定を裏付けるのに役立つものだと結論付けている。それは、古代海洋でのエネルギー捕捉に関する疑問の解決に役立つ可能性もある。
doi:10.1038/s41559-020-1122-9
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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