Research Press Release
新しい抗不整脈薬への道
Nature Communications
2011年6月15日
さまざまなクラスの抗不整脈薬の効率的な作用を目指して、それぞれの抗不整脈薬と心臓のナトリウムチャネルとの相互作用を調べた研究結果が、今週、Nature Communicationsに掲載される。この知見は、心不整脈を治療するための新薬の設計に役立つことが期待される。抗不整脈薬は、広く臨床使用されており、不整脈のタイプによって異なるクラスの抗不整脈薬が用いられている。クラスIの抗不整脈薬は、心臓のナトリウムチャネルで作用し、心電図に及ぼす影響に基づいてサブクラスに分類されている。しかし、これらサブクラスの分子基盤は、よくわかっていない。C Ahernらは、クラスIbの抗不整脈薬が陽イオン−π相互作用という強い静電的相互作用を介してナトリウムチャネルに結合する一方で、クラスIaとクラスIcの抗不整脈薬は、この相互作用に対する依存性が有意に低いことを見いだした。このような詳しい分子的手がかりは、新たな抗不整脈薬の発見に役立つものと考えられる。
doi:10.1038/ncomms1351
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
注目のハイライト
-
古生物学:南米の琥珀層に古代昆虫が「ひしめき合う」Communications Earth & Environment
-
気候変動:山火事の煙による年間死亡者数は増加すると予測されるNature
-
人工知能:DeepSeek-R1 AIモデルの背後にある科学Nature
-
医療科学:医療を導くAIツールNature
-
気候変動:温暖化によるサンゴ礁の緩衝機能の危機Nature
-
神経科学:繰り返される頭部外傷は若年アスリートの脳細胞を変化させるNature