Research Press Release
生物種を移動させるタイミング
Nature Climate Change
2011年7月25日
より適切な生息地に生物種を移動させることを意図する「managed species relocation(管理された形での生物種の人為的移動)」にとっての最良のタイミングを評価するための新たな定量的な意思決定の枠組みが明らかにされた。管理された形での生物種の人為的移動は、気候変動が生物多様性に及ぼす悪影響に対抗するための手段として提唱された。その是非については、生物保全コミュニティーで激論が交わされているが、すでに一部の生物種の生息地移動が始まっている。
今回、E McDonald-Maddenたちは、最適な移動のタイミングを決める要因の1つが集団の大きさであり、小規模な集団の場合には、生息地の移動に伴う個体数減少の危険を冒す前に成長のための時間を確保することによって利益が得られ、性急は禁物であることを明らかにした。また、積極的な適応管理を行って、移動元と移動先の生息地と個体数に関する情報を絶えず把握することで、より的確な管理上の意思決定を下せるようになり、移動元の生息地に対する気候変動の影響が不確実な場合に適応管理が特に貴重なことも判明した。
doi:10.1038/nclimate1170
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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