【工学】皮膚にやさしくかぶせる新しい仮想現実デバイス
Nature
2019年11月21日
触覚を感知するワイヤレスインターフェースが新たに開発され、これを皮膚の上に軽くのせて使えることを報告する論文が、今週掲載される。この装置は、機械的振動を通して情報を伝達するため、VR(仮想現実)用の人工皮膚として用いることができ、ソーシャルメディア、人工装具の制御、コンピューターゲームへの応用が考えられる。
情報を伝達するVR用の「皮膚」を作り出す手法の多くは、配線された電極の集合体を装着者の体に押し付ける方法を用いており、これらの電極は、感覚経験を再現するための振動を生成する。しかし、痛みや電気的に誘発される皮膚病変を起こさずに望み通りの応答を得るための電圧と電流の適切な組み合わせを見出すことが難しい課題となっている。
今回のJohn Rogersたちの論文では、ワイヤレスで電池不要の電子システムと装着型高感度インターフェースが紹介され、皮膚とのインターフェースの快適性と柔軟性を高めるための材料、デバイス構造、電源供給戦略と情報伝達方法が提示されている。このVR用の「皮膚」は、柔軟な軟質材料に埋め込まれた振動アクチュエーターのアレイを介して、電子的にプログラム可能な情報伝達と身体への快適な感覚入力ができる。Rogersたちは、数々の応用例を通して、このVR用の「皮膚」の能力を実証した。この電子システムを利用すれば、例えば、ソーシャルメディアを介して自分の手が触れる感触を大切な人に送信でき、義手でつかんだ物体の形状を再現することもできる。また、コンピューターゲームの対戦型格闘ゲームのプレーヤーが装着すれば、自分と対戦相手の攻撃を体感することもできる。
doi:10.1038/s41586-019-1687-0
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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