【微生物学】子宮内無菌仮説を裏付ける研究結果
Nature
2019年8月1日
数百点の胎盤試料の分析によって、健康なヒトの胎盤には微生物が定着していないことを示した論文が、今週掲載される。この研究結果は、長い間主張されてきた「子宮内無菌」仮説を裏付けるものであり、胎盤の細菌感染が、有害な妊娠転帰の一般的な原因でないことも示唆している。
人間の胎盤は、微生物のいない無菌環境だと長い間考えられてきた。最新のゲノム塩基配列解読法を用いた以前の研究では、子宮内で細菌のDNAが検出され、無事出産した女性と妊娠合併症を経験した女性とで子宮内の微生物の組成が異なっているという見解が示されていた。これに対して、他の研究では、これらの検出結果がコンタミネーションを原因とする偽陽性結果であった可能性が指摘されていた。
今回、Gordon Smithたちの研究グループは、この種の研究としては最大規模の研究において、500人以上の女性から採取した胎盤試料を分析して、DNA塩基配列解読法を用いて微生物を探索した。Smithたちの実験方法は、偽陽性結果が生じる可能性を最小限に抑えるように設計された。例えば、細菌のDNAを検出するために、2種類のDNA抽出キットといくつかの分子レベルの手法が用いられている。無事出産した女性と妊娠合併症を経験した女性のいずれの場合も大部分の試料に細菌の定着を示す証拠は見られなかった。ただし、新生児敗血症の主な原因であるB群連鎖球菌は例外で、胎盤試料の約5%から検出された。
以上の研究知見は、胎盤が乳児の微生物相の主要な供給源となっている可能性は低いことを示している、と同時掲載のNicola SegataのNews & Viewsで指摘されている。人間の微生物相が新生児において確立された正確な機序について最終的な結論が得られていないが、「胎盤が微生物の貯蔵庫ではないと確信できるようになった」とSegataは付言している。
doi:10.1038/s41586-019-1451-5
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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