Research Press Release

【電子工学】昆虫から着想した空飛ぶロボット

Nature

2019年6月27日

昆虫から着想した飛行ロボット(「RoboBee X-Wing」)が外部電源をつながず持続飛行できることを実証した論文が、今週掲載される。この小型ロボットは、長さが5センチメートル未満、重さはわずか259ミリグラムで、環境モニタリングや狭い空間での飛行に役立つ可能性がある。

飛行体(特に小型飛行体)は大量のエネルギーを必要とするが、リチウムイオン電池などの市販の電源の重量は、昆虫大の飛行体の目標質量の数倍に達することがある。そのため、このような飛行ロボットは、外部電源とケーブルで接続されている必要があった。こうした電源に代わる新たな電源として、太陽電池が関心を集めているが、最新技術を用いた飛行体が外部電源をつながずに飛行するためには太陽の光強度の約5~7倍という極めて高い強度の光が必要で、実用性に欠ける。

今回、Noah Jafferis、Farrell Helblingたちの研究グループは、先行研究に基づいた飛行体を設計することで、これらの問題のいくつかに取り組んだ。著者たちは、アクチュエーターの効率を高め、2枚ではなく4枚の羽ばたき翼を用いて、必要なエネルギー量を大幅に増やさずに揚力を増加させた。この飛行体の推力効率は、ほぼ同サイズの昆虫に匹敵する。また、試験中の飛行体の寿命を延ばすために低電圧で実施されたこの実験で、RoboBee X-Wingは外部電源をつながずに約0.5秒間持続飛行した。

著者たちは、屋外での連続飛行を実現するためにはさらなる改良が必要だと述べており、この飛行体が離陸するために十分な電力を生み出すには太陽の光強度の3倍を超える強い光が必要だが、この飛行体の最大積載量には余裕があり、今後の自律飛行実験に用いる大型電源を搭載できる可能性があると付言している。

doi:10.1038/s41586-019-1322-0

「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。

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